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約三十の嘘/土田英生


何日か前に Flickr がメンテナンスのために一日半近く使えなくなって、画面に表示されたパンダのグラフィックを眺めながら、「そういえばずいぶん前に観たあの映画のキャラクターみたいな立ち位置だったパンダには何の意味があったんだろう」 とふと思い出し、ソフト化されていないか調べていたら原作小説(?)が存在することに今さらながら気づいたので、手持ちのTポイントを使ってヤフオクで落札しました。

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『約三十の嘘』 (角川書店)でございます。

先にあとがきを読む派なのが功を奏して、だいぶ飲み込めました。もともと舞台劇だった作品を映像化するにあたって、私的なスケジュールの都合上多くは関われなかった原作者が、出来上がった映像作品を観た上で小説化したという本書、悪い意味で”映画とは違う”という部分がなさそうなので、安心して読めるのではと思います。違和感は混乱を招くだけだしね。

とは言え、映画版を観たのは何年前だろう・・・。「面白い」という印象は残ってはいるけれど最後まで観た記憶がない=結末を知らない。そもそも、そのときの興味の対象があくまでも作品の舞台として使われている寝台列車トワイライトエクスプレスだっただけに、内容がほとんど頭に入って来なかった。とりあえずキャスティングはまあまあ良かったんじゃね?ぐらいで。

今はもうトワイライトエクスプレスは走っていないので、もう一度映像作品を観てみたくなりました。ただし、BD化はされておらず、DVDの発売のみ。うーん・・・。


ブラタモリ⑧と⑪/NHK 『ブラタモリ』 制作班 (監修)


NHKの人気番組 『ブラタモリ』 が本になっていることを最近になって知ったので、とりあえず行ったことがあって思い入れのあるエリアを紹介したときの巻を買ってみました。

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テレビ番組の方は以前まではよく観ていたのですが、何年か前に解散するとかしないで揉めたアイドルグループの元メンバーがナレーションを努めていることで、その解散問題に揺れた時期を思い出してしまって、ついつい視聴を避けるようになってしまいました。別に彼らのファンでもなかったしタモリさんも関係ないんだけど、なんとなくね。仲違いというのがあんなに表に出ちゃうとさ、いくら他人事でも気にしちゃうんだよなあ。

とか言いながら、たまたま立ち寄った書店で秋発売の 『ブラタモリ⑬ 京都(清水寺・祇園)・黒部ダム・立山』 を見つけ、地元ネタだったので一度は買おうと思ったものの、構成がちょっとパッとしなかったこともあって棚に戻し、代わりに選んだのが横浜と成田を扱ったこの2冊でした。

横浜はここ数年はご無沙汰ですが、CP+に行っていたころ最初に泊まったのが関内だったかな。変わった地名だなとは思っていましたが、その理由にも触れられていて思わず 「ほぉ~」 と声が出てしまったり、こういう歴史のある土地って知れば知るほど面白いなと思うのです。

また、成田はユーカリが丘の公開ラジオ放送を観に行ったあとに新勝寺を訪れたときのことを思い出しながら読むこともでき、あのときはほぼ勢いで行ったので、お寺の由来とか全然知らないままだったので、いつか機会があればあらためて訪れたいと思っています。あのとき一緒に行ってくれた友だちは皆バラバラになってしまったけれど、当時を思い出しながら内包する記憶とともに旅ができればと思います。

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それに、売場で⑬を手に取ってみると、帯に書いてあるように付属してあるはずの特典ステッカーがなかったりもして、なんだかめんどくさくなってきたのもその理由です。地元民としては掘り下げ方が浅い内容だったし、だったら行ったことがあってまだ知らない余地のあるやつを読んだほうがまだ良いかと思って。


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この2冊に付いているステッカーが他の巻と比べても種類が多くて面積も大きかったので、パソコンとかに貼ったりしたら楽しそうというのもあってね。そういえば築地編のは出てないのかな、あれは番組も面白かったし録画して何度も観てたんだけど。最近は音や光に過敏になって、すっかりテレビ番組を観なくなってしまった。



巨大なラジオ・泳ぐ人/ジョン・チーバー(著) 村上春樹(訳)


ボーナス支給前なのに、衝動的に衝動買いしてしまいました。ていうか久しぶりにジャケ買いならぬ、装丁買いしてしまったぜ・・・。これはまさに想定外だ(

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村上春樹といえば本業のほかに翻訳家としての顔も持つ作家さんではありますが、個人的には唐突に妄想的な男性目線の性描写をぶっこんでくる本業の作品群よりも、英語の読めないおれにアメリカ文学作品を手元に手繰り寄せてくれた訳書のほうが好きで、10代の後半にはよく理解もしないのに何がしかの作品を読んでいたなあ(たぶんグレート・ギャツビーだったかと思っていたが、ネット検索でヒットする表紙の装丁がどうにも記憶と異なっている気がする。あれはいったいなんだったんだ)。

というわけで、まったくの予備知識もなく手に取ったこの作品、もうすぐ雪が降り外に出るのも億劫になるこの季節にのんびりと読んでみようと思います。


GRACE OF LIGHT / KYON.J


日本のアニメと声優とゲームが好きで日本に来た中国広東省出身の留学生が、2015年に訪れた北海道の風景に感動して本格的に写真を学び始めてから3年、わずか3年でナショナルジオグラフィックから渾身の作品を収めた写真集を発売だなんて、とんでもないシンデレラ・ストーリーじゃないか!(驚

しかも、日本国内だけでなく故郷の中国はもちろんアメリカやヨーロッパと、貯金と有給休暇の許すかぎり飛び回るその行動力と訪れた場所で撮った風景写真のひとつひとつに込められた力の強さを感じて、その写真集を買いました。

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KYON.J さんの写真集 『GRACE OF LIGHT』 でございます。そういえばずいぶん前にクラウドファインディングで撮影援助を募集してたっけな、あれがついに実現したのか・・・。

写真を撮ることが今や日常となっていて、その目的のひとつに彼女と同じように ”この景色を誰かにも見せたい” という思いがあったりします。ただし自分の場合は富山ローカル(苦笑。

多くの人が一生のうちに一度行けるか、または行けないまま墓に入るという地球上の絶景を見ることができるのはカメラという道具の恩恵でもあるのは間違いないけれど、それを自ら撮りに行くという並々ならぬ努力や行動力には称賛の言葉しか浮かばない。


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そして、作品のひとつひとつに込められた言葉がよりいっそう世界を引き立たせるのだ。


雪沼とその周辺/堀江敏幸


前略

お薦めいただいた 「雪沼」 、もう少し時間をかけて読んでいくつもりでしたが、ことのほか面白くて時間を忘れるほど話に引き込まれていったのと、最近ちょっと足を悪くしてしまい家族から外出を止められたおかげで、ついつい最後まで読み終えてしまいました。でも、いちど読んだだけでは気づかなかったこともあっただろうし、何度も反芻しながら読むことになりそうです。それくらい、この作品は面白かった・・・!

気まぐれにしか読書をしないこともあって、いつの間にか頭が固くなっていたのかな、初めに 「雪沼」 が実在する地名ではなく、架空のものだと知ったときには少し違和感を覚えたのですが、これって架空の町だからこそ読む人ごとに見える景色が違うという素敵な魔法ですよね。

小留地先生が雪沼に移住するきっかけのひとつとなった ”スキー場” で浮かんだのはずいぶん前に長男と行ったきりの粟巣野スキー場との周辺に点在する家だったりするし、『スタンス・ドット』 の寂れたボウリング場のある風景は、昔嫁とよく行った東海老坂の焼き鳥屋の辺りを想像してしまう。由君が流された尾名川は、いつか父親が道に迷って車ごと落ちそうになった常願寺川のようだったのだろうか、と今や実体験だったのか夢で見た景色だったのか記憶があいまいになっている風景が浮かんできます。

そういった記憶の断片を構成して、読む人ごとの 「雪沼」 が読む人の数だけ存在するというのは、なんと贅沢な仕掛けだろうと思うのです。それらはお互いに決して行き来することはできないし、完全に再現することも不可能・・・なんてことを想像するだけで、オラわくわくすっぞ!

もともと、小説の中でも短篇集が好きで、ベタなところで言えば村上春樹なら 「TVピープル」 がマストでしたが、読後の余韻に浸れる作品に出会えるというのはとてもうれしいことです。読み始めてから大体のことが見えてきて、ああ読み終わるのが寂しい!と思うのは何年ぶりだろう、「雪沼」 の各エピソードごとの余韻の違いもまた面白いですよね。平和に終わりを結ぶ 『レンガを積む』 があるかと思いきや(昔、レコード売場の担当だったこともあって、物語の舞台の脳内映像が当時勤めていた店舗の記憶と重ねられていく感覚が最高だった)、夢なのか現実なのか分からなくなる 『河岸段丘』 もすごく心に残りました。

とりとめのない感想になってしまいましたが、これからも何度となく読み返す本と出会わせていただいてありがとうございました。


―追伸

あまりにこの作品が気に入ってしまった勢いで、よせばいいのに単行本をアマゾンで買ってしまったのは内緒です(もちろん中古)です。やっぱり紙の本は、できるかぎり発売当初の装丁のものに触れながら読みたいですしね。最近はけっこう単行本の文字の大きさがしんどくなってきました。



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