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永遠の0(ゼロ)

百田尚樹の原作を半分ほど読んだまま鑑賞に臨みました。
だって、ずっと年寄りの愚痴みたいな独白ばかりで絶賛なかだるみ中なんだもん・・・。

しかし、

全俺が泣いた・・・!


永遠の0


Eien_no_Zero.jpg

監督が『ALWAYS 三丁目の夕日』(大嫌いな映画)の山崎貴と聞いて不安になりましたが、CGで再現された赤城の
威容とタイコンデロガへ牙をむく零戦二一型の雄姿をCMで見て覚悟を決めました。

”どんなに苦しいことがあっても観終わる努力をしよう” と。

さて、肝心の映画の方もバッチリ年寄りの独白が延々続きますが、俳優陣の貫禄の演技でグイグイ物語に引き込まれ、
飽きることはありませんでした。それには多分に原作を読みかじったというのもあったかもしれませんが、
田中泯は分かっていたけど反則級の貫禄、そして橋爪功の渾身の長台詞。
同じセリフを言うにしても、誰も真似のできそうのない魂の込め方がハンパなかったです。
ただ、あれを訛りながらやらせるのはやり過ぎというか、青年期のシーンでは訛っていなかったので違和感を
憶えました。


この映画を「戦争賛美」と評価する向きもあるでしょう。でも、日本人ならば”あの戦争”を否定することもできない
はず。人と人とが殺し合うことは決して良いことではないけれど、”あの戦争”を多くの人が乗り越えたことで
今の自分たちがあることを忘れてはいけない。

”ヒロシマ・ナガサキに原爆を落としたことで終戦が早まり、多くの民間人を救うことができた”だなんて寝言を
言ってるアメリカ人もいるらしいけど、それはお前らの理論だ。

そう思いながら、隣席の60代くらいの夫婦がガッツリとポップコーン食いながら観ていたのを横目に見つつ、
平和な世の中になったんだなあと実感した次第です。


演出方法としては、人物が語るシーンではカメラが大げさに動かず、かと言って構図に陶酔した感じがなくて好感が
持てましたし、零戦のドッグファイトの場面はそりゃもう日本のVFXもここまで来たか!と感激を憶えるまでの
クオリティでとても良かったんですが、ラストの数分だけはちょっと蛇足かなあ。
最後の盛り上げ方としては定石かもしれないけれど、下手をすればSF映画っぽくなっちゃうから、
直前の三浦春馬のアップのままエンドロールのほうが最後に余韻を残せてよかったと思うんだけど。

原作は、映画を観終わった後一気に残り半分を読み切りました。
何人かの登場人物は劇中では省略され、『ブラック・ホーク・ダウン』でもあったことなんだけど、複数の人物像を
一人にまとめてしまったりとか、尺に収めるために工夫したようでしたね。
それに対しては否定的ではなくて、よくぞどうでもいい主人公の姉の恋愛話を端折ってくれた、と拍手を送りたいと
思いました。

また、”カミカゼ・アタックを行った特攻兵は貿易センタービルへ突っ込んだ狂信者と同じ”という台詞を言う人間を、
原作では主人公の姉に心を寄せる新聞社で働く男に言わせていましたが、前述のとおり映画では彼の存在がなかった
ことになっているのを、主人公の大学時代のハーフ顔のチャラい友人?に言わせているのが絶妙過ぎでした。


ところで、主人公の父親が原作でも一切出てこないんだよね。大人だけの所帯なのに炊飯器はシャープの3合炊きだし、
司法浪人でダラダラした生活を送っているなら、朝食は抜くかせいぜいでパン食だろう。
昼は外でファーストフードで済ませて、夜にようやく白米食う程度なら足りるだろうな、
でもカレーの日だとお代わりできなくなくなくない?とか不安に思ったし、
ノートパソコンはFMVでテンキーと電卓が左側にあったってことは、風吹ジュンめ何者?と勘ぐりました。
もう1回観たら炊飯器の型番くらいは特定できそうです。(だからどうした)


泣けたのは、宮部久蔵が初めて娘・清子に会う場面(トレイラーでも散々観たけど、台詞がとても良い)と、
元やくざの男(田中泯)が、宮部のことを話し終えた後に主人公を抱き寄せるシーン。
自分が若いころに憎むほどにこだわり忽然と目の前から消えた男の孫が、目の前にいる。
死んだ男の血はちゃんと後の世代へと紡がれていることを感じてのことだろうと考えたら、目から変な水が出てきました。


宮部の最後の選択は、ずるいと見るか彼らしいと見るか悩みますね。
どうせ負け戦だからと捨て鉢になったようにも思えるし、教官として飛び方を教えた若い兵士がどんどん特攻で死んで
いくのについに耐えられなかったようにも思えます。

特攻隊の直掩機として教え子の最期を見届けないといけないなんて、なんて残酷なんだろう・・・。

妻と娘の人生を壊さぬよう、何としても生き残って家族の元へ帰ることを願っていたけれど、
将来の日本を支えるはずの若者たちの犠牲の上に生き延びた自分など、家族の元へ帰れる資格などない、
そう思ったのでしょうか。


彼は― 宮部久蔵はどうしようもなく優しい男だった。




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