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蒲田 初音鮨物語/本田雅一


『これからスマートフォンが起こすこと。』(2011年06月)や、『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(2011年8月)といった著書もあるテクノロジー系ジャーナリストの本田雅一氏が、とある寿司屋が舞台のノンフィクション小説を書いたと聞いて手にした本書、”感想文”を書くことを前提として読むのをどうしても避けたかったので、もともと読むのが遅いほうなのにさらに時間をかけて読むことになりました。気が付けば本の発売から半年近く経ち、本書の内容をきっかけに独自取材・制作された映像が、人気テレビ番組 『逆転人生』 (司会は山里亮太!)で放送されることが発表される直前になってようやく読了。寿司だけにネタばれはごめんだぜ・・・。
断っておきますが、けっして難しい内容だったからではありません。テクノロジー系ジャーナリストが何故ノンフィクション小説を書きたくなったのか、その意図を汲み取らないと本書の在り方を理解はできないだろうと思い、時間をかけて咀嚼したかったからです。

つまるところ、顧客のニーズに応じてサービスを変えていくことで自らの価値を創造し高めていくその境地に達した初音鮨の四代目、中治勝氏の生き方に本田氏はきっと共感をおぼえたのでしょう。第七章の冒頭に書かれるシンガポール華僑の家族とのエピソードから始まる中治勝氏のとある”変化”についての記述は本書の白眉だろうと思います。

表紙をめくり、最初に目に飛び込んで来るのはツケ場に立つ中治夫妻の屈託のない笑顔。気難しい性格というイメージの強い寿司屋の大将の中にあってなぜ中治勝氏の表情が柔和なのか、それは”最高の鮨”と”最高の舞台”を大病を乗り越えた”最高の家族”とともに手にすることができたからだと、エピローグを読んだときにそう思わずにはいられませんでした。

ただ、本書はそれだけでは終わりません。こうしたちょっとニッチな成功体験をもっとメジャーなものに置き換えて巻末に添えています。おれがこの本を買ったのはリアル書店ではなく、Amazon でした(発売日から遅れて届く”konozama”を食らったけど)。その Amazon はといえばもともとは書籍通販サイトが出自でした。それが今や総合的なネット通販サイトになり得たのもやはり顧客のニーズに応じて利便性を追求したから描くことのできた形なのであり、これからもそうあり続けるはず。巻末付録まで読ませて腹落ちさせようなんてなかなかニクイなあと思いながら、いつか初音鮨で・・・と、嫁が食卓に並べた小皿に乗る鰤の切り身をいただくのでありました。


蒲田という土地には少しだけ縁がありまして、2013年2月1日より開催された 『CP+2013』 に行ったときに前日入りして泊まった宿が 『スーパーホテル 東京・JR蒲田西口』 でした。せっかく都会に行くのにずっとハコの中じゃつまんねえべと思い、前日の1月31日は友人と東京観光をすることにしたので、東京からも横浜からもアクセスしやすい場所を探したら蒲田になりました。スーパーホテル系列は過去にも利用したことがあるため勝手も分かっているという理由で選んだという。

蒲田駅を下りたとき、駅メロが噂通りに 「蒲田行進曲」 が流れたときは一人で笑っちゃった。あの映画、好きなんだよね。風間杜夫も平田満も松坂慶子もいっぺんに好きな役者になっちゃった。映画公開時は小学生だったけれど、”コレがコレで”はソッコーで覚えました。今でも長い階段を見ると”銀ちゃん、かっこいい・・・”と言いたくなります。

さて、その 『スーパーホテル 東京・JR蒲田西口』 の場所をふと思い立って調べてみると、なんと初音鮨さんからまさかの目と鼻の先(笑。



2013年といえば、初音鮨が改装をして豪奢な洋館仕立てにしたという時期と重なります。もしかしたら、窓の外から建物も一部でも見えてたのかなあと思いました。



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Harukist


昨年の12月に 『巨大なラジオ・泳ぐ人/ジョン・チーバー』 (ジョン・チーヴァーの短編集を村上春樹が翻訳したもの)を読んだとき(まだ読み終えていないけれど)にふと思い出した、”10代の後半にはよく理解もしないのに何がしかの作品を読んでいた” 訳書を思い出すことができました。

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『偉大なるデスリフ/C.D.B.ブライアン』(1987年刊行―オリジナルは1970年の作品)でございます。単行本は絶版されてひさしく、当然ながら古書で入手しました。これこれ、この想定だったんだよな―と分かるのはきっとおれだけかもしれない。


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この作品― 『華麗なるギャツビィ』 のオマージュ作品―への世間の評価はまあ、そんな高くもないのかな。でも、そんなことはどうでもいいし、読んでみて面白ければいいのだ。とにかく、おれが古い記憶をたどってまで固執したということは、きっと読んでたときの印象が悪くなかったんだろう。


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あとがきを先に読む派なのですが、この文章に思わず噴き出した。どこかで読んだ ”「全ての小説が文学史に残る超一流の小説である必要はないのだ」” という訳者のコメントを思い出した。ところで、ギャツビーのほうは読む気はさらさらない。


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もう一冊、こちらは短編集です。海外で発売された短編集と同じ掲載順で編集されたという、ちょっとカッコつけた仕掛けを孕んだ本。ただし、内容は日本語です(ぉ。

この 『象の消滅』 が村上春樹の海外での短編作品集として編纂されることになったきっかけというのが、本書にも収録されている短編 『TVピープル』 が雑誌 『ニューヨーカー』 に掲載されたことからだそうで、『TVピープル』といえばおれが村上春樹の短編作品にハマった最初の作品なので、このエピソードを知ったとこはちょっとうれしかったな。


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さて、本書のオープニングを飾るのは、『ねじまき鳥と火曜日の女たち』。冒頭からスパゲティーを茹でたり茹でなかったりしてるやつです。初めて読んだので、「うわ、ネタじゃなくて本当にスパゲティー茹でるんだ」 と思ってしまいました。そういう意味でも村上春樹作品の入門編として最適なのかもしれません。

最後に、おれがこの作家と同じ苗字になったのはただの偶然だし、子供に同じ名前を付けたのも偶然だったわけですが(そう言うとたいてい本当?って訊かれる。やれやれ・・・)、自分がいくら有名になったからといってテレビに出たりもせず、ずっと作家の立ち位置のまんま、なんなら熱狂的なファンにすら困惑しているし、ノー●ル文学賞なんか望んでもなさそうなところには敬服しますね。いつかまたどこかでジャズ喫茶をやることがあったなら、ぜひ行って店の隅っこの席で無になりたい。



約三十の嘘/土田英生


何日か前に Flickr がメンテナンスのために一日半近く使えなくなって、画面に表示されたパンダのグラフィックを眺めながら、「そういえばずいぶん前に観たあの映画のキャラクターみたいな立ち位置だったパンダには何の意味があったんだろう」 とふと思い出し、ソフト化されていないか調べていたら原作小説(?)が存在することに今さらながら気づいたので、手持ちのTポイントを使ってヤフオクで落札しました。

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『約三十の嘘』 (角川書店)でございます。

先にあとがきを読む派なのが功を奏して、だいぶ飲み込めました。もともと舞台劇だった作品を映像化するにあたって、私的なスケジュールの都合上多くは関われなかった原作者が、出来上がった映像作品を観た上で小説化したという本書、悪い意味で”映画とは違う”という部分がなさそうなので、安心して読めるのではと思います。違和感は混乱を招くだけだしね。

とは言え、映画版を観たのは何年前だろう・・・。「面白い」という印象は残ってはいるけれど最後まで観た記憶がない=結末を知らない。そもそも、そのときの興味の対象があくまでも作品の舞台として使われている寝台列車トワイライトエクスプレスだっただけに、内容がほとんど頭に入って来なかった。とりあえずキャスティングはまあまあ良かったんじゃね?ぐらいで。

今はもうトワイライトエクスプレスは走っていないので、もう一度映像作品を観てみたくなりました。ただし、BD化はされておらず、DVDの発売のみ。うーん・・・。


ブラタモリ⑧と⑪/NHK 『ブラタモリ』 制作班 (監修)


NHKの人気番組 『ブラタモリ』 が本になっていることを最近になって知ったので、とりあえず行ったことがあって思い入れのあるエリアを紹介したときの巻を買ってみました。

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テレビ番組の方は以前まではよく観ていたのですが、何年か前に解散するとかしないで揉めたアイドルグループの元メンバーがナレーションを努めていることで、その解散問題に揺れた時期を思い出してしまって、ついつい視聴を避けるようになってしまいました。別に彼らのファンでもなかったしタモリさんも関係ないんだけど、なんとなくね。仲違いというのがあんなに表に出ちゃうとさ、いくら他人事でも気にしちゃうんだよなあ。

とか言いながら、たまたま立ち寄った書店で秋発売の 『ブラタモリ⑬ 京都(清水寺・祇園)・黒部ダム・立山』 を見つけ、地元ネタだったので一度は買おうと思ったものの、構成がちょっとパッとしなかったこともあって棚に戻し、代わりに選んだのが横浜と成田を扱ったこの2冊でした。

横浜はここ数年はご無沙汰ですが、CP+に行っていたころ最初に泊まったのが関内だったかな。変わった地名だなとは思っていましたが、その理由にも触れられていて思わず 「ほぉ~」 と声が出てしまったり、こういう歴史のある土地って知れば知るほど面白いなと思うのです。

また、成田はユーカリが丘の公開ラジオ放送を観に行ったあとに新勝寺を訪れたときのことを思い出しながら読むこともでき、あのときはほぼ勢いで行ったので、お寺の由来とか全然知らないままだったので、いつか機会があればあらためて訪れたいと思っています。あのとき一緒に行ってくれた友だちは皆バラバラになってしまったけれど、当時を思い出しながら内包する記憶とともに旅ができればと思います。

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それに、売場で⑬を手に取ってみると、帯に書いてあるように付属してあるはずの特典ステッカーがなかったりもして、なんだかめんどくさくなってきたのもその理由です。地元民としては掘り下げ方が浅い内容だったし、だったら行ったことがあってまだ知らない余地のあるやつを読んだほうがまだ良いかと思って。


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この2冊に付いているステッカーが他の巻と比べても種類が多くて面積も大きかったので、パソコンとかに貼ったりしたら楽しそうというのもあってね。そういえば築地編のは出てないのかな、あれは番組も面白かったし録画して何度も観てたんだけど。最近は音や光に過敏になって、すっかりテレビ番組を観なくなってしまった。



巨大なラジオ・泳ぐ人/ジョン・チーバー(著) 村上春樹(訳)


ボーナス支給前なのに、衝動的に衝動買いしてしまいました。ていうか久しぶりにジャケ買いならぬ、装丁買いしてしまったぜ・・・。これはまさに想定外だ(

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村上春樹といえば本業のほかに翻訳家としての顔も持つ作家さんではありますが、個人的には唐突に妄想的な男性目線の性描写をぶっこんでくる本業の作品群よりも、英語の読めないおれにアメリカ文学作品を手元に手繰り寄せてくれた訳書のほうが好きで、10代の後半にはよく理解もしないのに何がしかの作品を読んでいたなあ(たぶんグレート・ギャツビーだったかと思っていたが、ネット検索でヒットする表紙の装丁がどうにも記憶と異なっている気がする。あれはいったいなんだったんだ)。

というわけで、まったくの予備知識もなく手に取ったこの作品、もうすぐ雪が降り外に出るのも億劫になるこの季節にのんびりと読んでみようと思います。


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